沖縄のアナログゲームショップ「サイコロ堂」さんのノンオブラートレビューに拙作「ケモノポリス」を申し込んでみました!

ケモノポリスを発送してから約2週間ほどでレビューが届きました。

言い訳無用!

まずは全文をどどんと一挙公開です。


《board game every dayサイト運営 aoringo様レビュー》

プレイした人の反応

 

四人戦では盛り上がりどころも有り、中々に戦略的に動けている、というプレイ感を楽しめたようです。

 

一方でその人数を下回るプレイ、特に奇数人でのプレイは羊派の人がどう立ち回ればいいのか始終困っているような印象でした。

 

ルールライティングとコンポーネント

 

基本的にルールに関しては問題はないかと思われます。

 

一点、チーム戦を行うときの席順ルールがないようですが、じゃんけんでランダムに決め、場合によっては同じ派閥が連続で座ることがあるということでしょうか? 今回はそのようにプレイしました。

 

コンポーネントに関しては、「色」と「派閥」という二種類のスート情報がカードにありつつ、その派閥アイコンが色で分け割れているため、どのカードがどの派閥か、パット見でわかりづらいと感じました。派閥アイコンはまた別の色で、カード枠・背景を色スートで統一するとまだプレイアビリティは上かもしれないと思いました。

 

感想詳細

 

色という盤面のエリアマジョリティに、種族という点数のエリアマジョリティを組み合わせた非常に挑戦的な作品だとまず感じました。ただ、それが生かせているか、というと不完全燃焼だと言わざるを得ません。というのも、本作には意図的に裏面でカードを出せる、という手番行動が認められているため、結局のところ特殊行動をいつまで温存させられるのか、というチキンレースの側面が強すぎるからです。

 

盤面のカードを入れ替えられる、好きなカードを裏面で出せる、というのは非常に強力であり、一度決まった盤面をギリギリになって変更できるというルールがあります。これにより盤面が読みづらく、そもそもとしてカードが運によって配られる本作では先述の通り色・派閥という二つのエリアマジョリティも絡んでとても難しくなっています。

 

また、奇数人数で導入される羊派閥ですが、マイナス点場でそこを取らされる事が多く、カード内にも存在枚数が少ないためどうすれば勝てるのかが難しく、正直、調整不足さを感じてしまいました。「この調整不足さ」は様々な場面で感じます。初期手札の交換ルールも、先述の通り見通しの悪い中で手札を半分交換する、というのはとても難しく思いました。

 

色と派閥という二つのエリアマジョリティというアイデアは面白く、基本的なルールは上手く噛み合っていると感じます。事実、四人プレイでは中々戦略的にお互いのチームを見て楽しむことができる瞬間がありました。ただ、ライティングの欄でもかきましたが、チーム戦の席順ルールが抜けているようです。これによりゲームにかなり影響のあるレベルでかたよりを感じることがありました。

 

ボードの運用ですが、「鍵に配置するまで点数はめくられない」というのがかえってゲームを間延びさせているように感じました。「その段に最初にカードを置いたら公開」でもよかったのではないでしょうか? そうすると、新しい段を誰が、どのカードで公開するのか、というジレンマとチキンレースを促せると思いました。

 

手堅いメカニクスの組み合わせによる大きなポテンシャルを感じます。一方で、そこに色々と付け足したようなアンバランスさも同時に感じてしまいました。おそらくそれが調整不足さを感じさせたのだと思います。面白い瞬間もあり、印象に残るゲームだとは感じます。次回作を期待しております。

《サイコロ堂店主様レビュー》

コンポーネント評価        

 

しっかりと作り込まれたイラストとボードが目を惹きます。

カードを置くタイプのゲームでは、ボードが省略されがちですが、ボードになっていることにより、プレイ時の理解や遊びやすさが段違いによいという印象です。

 

カードデザインは3陣営にそれぞれ3色のカードがあるため、ややわかりづらさを感じました。

陣営ごとにアイコンやイラストで区別されてはいるのですが、手札にしたときはほぼアイコンだけの違いしか認識できない状態です。カードデザインの際は、単体ではなく手札にしたときのみやすさをもう少し意識して、違いをだしていくと良いと思われます。

 

イラストは好みが別れるところだとは思いますが、クオリティには全く問題ないと思います。

個人的な感想では、線が太くデフォルメが強い絵と、スタイリッシュなアイコンデザインにミスマッチを少しだけ感じました。

 

 

 

マニュアルは非常に読みやすく、一度目を通してのゲームでほぼ問題なくプレイできました。

ただ、ヒツジ族の得点条件で一点わからないポイントがでてきました。

イヌ族とネコ族が同数でヒツジ族が0の場合もヒツジ族の得点になるのでしょうか?

厳密にルールを履行するのであればヒツジ族が0でもヒツジ族がテリトリーを支配することになると思い、そのようにプレイしたのですが、例示ではこの部分が示されておらず、少々悩みました。

例示の中にヒツジ族が0の場合も含めていると、より親切だったと思います。

 

プレイしての評価

 

プレイそのものは、かなり先を意識してのプレイが求められているな、という印象です。一度判断ミスをするとその段での挽回はかなり難しく、かなりの緊張感があるアブストラクト的なプレイ感を感じました。

黒チップと白チップの効果でやや逆転の目があるのが、個人的にはよいと思いました。チップがなければ最初の数段でゲームがほぼ決まってしまう事が多いでしょう。

 

カギのマークの上にカードを置くと、上の段の得点が見える、というシステムも、段ごとに重視される場所が変わり面白いと思いました。

また、「ペンギンパーティ」のように、上に置ける色が下の段で決められるシステムも、カードの置きあいに戦略性を添えている印象です。

 

 

反面、最初のカードを半分戻し、配り直す部分が本当に必要だったか、疑問に思いました。何度かプレイする中で一度、配り直し無しのまったくのランダムな手札でプレイしたのですが、プレイ感的には大きな違いは感じませんでした。

サイコロ堂でのテストプレイでよく起こったケースですが、最初に配られた時点で(種族関係なしに)ポイントの高いカードを手札に残すプレイヤーがほとんどでした。このため、結果2回目に回ってくるカードが代わり映えのしないカードになったと思います。

 

また、3種族の中でヒツジ族がまったく違うプレイングを求められ、難易度が高いとの感想が多く見られました。枚数を減らされている分の基礎点の高さだとは思うのですが、ヒツジをプレイしたプレイヤーはほぼ苦戦し、得点も低いところに留まっていました。

必要以上に枚数を減らされているのでは、という印象です。

商品としての評価

 

6人まで遊べる陣取り系のゲームはプレイ時間が長くなりがちか、1ゲームが非常に短いものになりがちな印象ですが、本作ではほどよいボリュームかつ、よいテンポで遊ぶことが可能になっており、大きなウリになっていると思います。

 

 

……いやー、色々と甘かったなと思わざるを得ない訳ですが、いい刺激になりました。とにかくこのレビューから何かを掴み取り、次の作品に生かしたいと思った次第です。

同人ボードゲームを作り始めて「これは本当に面白いのだろうか?」という疑問が浮かんだクリエイターの方がいらっしゃいましたらノンオブラートレビューはオススメです。

よい刺激が受けられること請け合いです。
そして、沖縄へ行く機会がありましたら、ぜひサイコロ堂さんに行きましょう~!
 
そして、最後にひと言。ケモノポリスは面白いので、見掛けたらぜひ1プレイを!